
"矯正治療は子供の受ける治療だ"と思っていられる方が相変わらず多くみられます。今や当院でも20歳代、30歳代の方はもちろんのこと40歳代、50歳代の患者さんも決して珍しくありません。当院の統計でも新患相談が15年前10%だった成人患者さんの割合も現在では60-70%になってきました。
成人と子供さんの治療上の違いは何でしょう。
1番の違いは成人の場合には成長がないことです。
従って顎の発育の促進や抑制を必要とする治療は制限されます。骨格性の異常の改善が必要な場合には手術になります。
2番目には一般に成人では歯周炎や虫歯で修復された歯、抜歯されている歯など口腔内の条件の悪い場合が多いことです。これも治療方針を決める上で困難を生じます。
3番目には長年の不正咬合により顎の動きが悪くなり顎関節症を伴っている場合が多くみられ治療が複雑になることがあります。
逆に成人の良い点もあります。それは本人が熱心だという事です。"今まで歯並びが大変気になっていた。治るならがんばる、少しくらいつらいことは我慢する"と言うことです。歯磨きも熱心です。もちろん見た目を気にしてゴムなどの使用に非協力的な方もおられないわけではありませんが、一般的には装置使用を協力してくれ、また来院もきっちりされる方がほとんどですので早くきれいに治ることが多いわけです。
歯は何歳でも動きます。もちろん若い方の方が動きやすいとはいえますが、成人だから矯正治療ができないということはありません。矯正治療と補綴(入れ歯など)との併用により早く改善することもあります。
今後とも成人の矯正患者さんは益々増加する事は間違いありません。
10年ほど前にアメリカの矯正専門医に見学に行ったとき、待合室に白髪のご婦人が2名おられました。どうみても70歳くらいの方でしたが、"お孫さんが治療しているのですか?"と聞きますと"私がしているの。"と口の装置をにっこりとみせてくれました。"どうしてそんな年で?"と聞きますと"がたがたしているので磨きにくく気持ち悪いから"と言われました。今更ながら国情の違いを痛感した記憶があります。
"もうこの年だから""結婚しているから今更いいわ"とあきらめないで益々輝く魅力ある人生を続けたいものです。
■最近当院で終了したN.N.(31歳で開始)さんと現在最終段階に入っているK.M.さん(40歳で開始)、そしてF.H.さん(36歳で開始)の三人の方に矯正治療を受けられた感想文を書いていただきました。
N.N.さんは、下顎の前後的な位置の改善を必要とする患者さんでしたが、虫歯や金冠が多かったので奥歯を抜歯して治しました。
またK.M.さんは、下顎の左右的な位置の改善を必要とした患者さんですが一般的な第1小臼歯を4本抜いて治療を行っています。
そしてF.H.さんは、不定愁訴はなく顎の位置は良いのですが、悪い歯が多かったためさらに複雑な抜歯の方法を選択しています。
◇N.N.さんの感想文
矯正に興味があったのですが、子供もいるし もう30歳を過ぎたしと思っていました。でも出来るらしいと聞いて、可能性があるなら、とにかく話を聞いてみようと思い、久島先生のお話を聞きに、主人と一緒に行きました。
先生から詳しい説明を聞き、私達もいろんな質問をしましたが、全ての説明は明確で、実際の症例も沢山見せてもらい、納得するものでした。
まず 私の場合あごが後退しているのを、前に出るように動かすことでした。
1ヶ月ほどマウスピースをはめていると、あごの位置がだんだん前へ出てきました。
それと共にひどい偏頭痛がおさまり出しました。かみ合わせが正しくなってきたんだなと実感できました。
次に矯正です歯のいがんでいるレベルが、A~FのFでした。
Fの中でも私は困難を極めるレベルらしく、説明の時に先生は、私の持っている技術のすべてを使って直しますと言われたほどでした。
まず3本歯を抜きました、以前に1本抜いていましたから計4本です。
そのあと上下の歯にワイヤーをはりました。
ワイヤーを締めなおす度に確かに、ご飯1粒噛締めるのも痛いこともありましたが、たいがい3日でおさまりました。
そうしているうちに奥歯を抜いた大きな穴も徐々に小さくなっていき八重歯もへこみ、横を向いていた歯も正面を向き、つるりと並びだしました。
始めてから2年10ヶ月、近所を探し回っても私より歯並びのきれいな人にまだ会いません。
何より私のうれしい事は、頭痛がほほ治ってしまったことです。
健康になったお陰で、ピアノも集中して弾けるし、今は英会話も勉強中です。
月に一度お友達と習字のお稽古にもでかけ、お昼のお食事会も自宅でしたりと、以前にはまったく考えられなかった生活をしております。
以前は、1週間内に3日は頭痛で頭痛薬を2倍呑む事もありました。
ありがとうございました。
![]() ▲治療前(N.N.さん) |
![]() ▲治療後(N.N.さん) |
◇K.M.さんの感想文
私が歯科矯正の機会に出会ったのは2年前のことです。
娘の矯正治療が終了し、これまでの治療のプロセスと結果について久島先生からご説明を受けました。
その時歯のかみ合わせが健康に影響を及ぼすことを教えていただきました。
その頃、私は頭痛や肩こりといった不定愁訴に悩まされていたのですが、先生に何気なく「私も頭痛や肩こりがひどいのは、かみ合わせが原因かもしれませんがもう年なので今さらどうしようもないですね。」と話たところ、「いや、70歳になっても矯正は可能ですよ。」とお聞きし、驚きました。
その時は半信半疑でしたが、取りあえず検査を受けることにしました。結果は顎がかなり歪んでいて、それによって不定愁訴が引き起こされていると考えられるとのことでした。
もちろん矯正は費用も掛かりますのですこし考えましたが、辛い頭痛や肩こりから解放されたいという思いと、この機会に以前から気になっていた八重歯や乱ぐい歯を治せるかもしれないという期待の方が大きく、治療を受ける決心をしました。
治療を始めてから1ヶ月くらい経った頃、頭痛や肩こりが気にならなくなったことに気づき、こんなに早く効果があらわれるのかとびっくりしました。
さらに治療を受けていくうちに八重歯も他の歯と同じいちに並び、ガタガタだった歯並びも徐々にきれいになっていきました。
治療を受け始めてもうすぐ2年になりますが、今では頭痛や肩こりもすっかり消え、歯並びも期待していた以上にきれいになり思い切って矯正治療を受けて本当によかったと実感しています。
![]() ▲治療前(K.M.さん) |
![]() ▲治療後(K.M.さん) |
◇F.H.さんの感想文
矯正を始めたのは娘たちが先でした。
私自身が子供の頃から歯並びが悪くてからかわれたりしてきたので子供たちにはそんな目に遭わせたくないと矯正を受けさせたのですが、あまりにも綺麗になったので羨ましくなり自分も始めることにしました。
久島先生から懇切丁寧なガイダンスをしていただき、疑問を抱いたことにも全てお答えいただいて始めたので、年齢が高いということには何も心配はしていませんでした。
二年後の自分、40才代、50才代の自分へのプレゼントと思って始めました。
一番嫌だったのが抜歯の時でした。
しなくてはいけないこととは頭では理解していましたが、何かやはり怖かったです。
でも久島先生が、私の歯の健康状態をよく調べて、過去虫歯になって弱くなっていた歯を抜くように、そして比較的健康な歯を残すようにしてくださったので、何とか勇気を出してこのステップを越えられました。
抜歯が済むと次はいよいよワイヤがはめられました。
装置がはめられてしばらくはあまりの負担に精神的に落ち込んでしまいました。
そのころの写真を見ると、歯も減ったこともあって、頬がげっそりやつれています。
それからしばらくは大変でした。
当時ユニバーサルスタジオジャパンの建設現場で英語通訳をしていたのですが、まずは歯を抜いたり、ワイヤがあったりでしゃべりにくく発音も変わったりで苦労しました。
職業柄人前にもでることが多く、装置の入った口元をとても気にしていたのですが、なんと同じ現場の通訳者で4人も矯正装置をはめた人がいました。
やはりアメリカ人と接する機会が多く、乱れた歯並びでは好印象を持っていただけないと強く感じることが多いからでしょうか。
通訳者同士は時には競争意識もあり厳しいものですがこの矯正仲間とはお互い話も弾んで仲良くなってしまいました。
初めは装置の入った口元の外観をとても気にしていたのですが、幸いなことにアメリカ人ばかりの職場だったのでからかわれたり傷つくようなことを言われたりというような嫌なことは一つもありませんでした。
矯正をしているということをとてもほめていただきましたし、ほとんどの人が子供の時矯正をしているのでそのつらさもわかってもらえました。
何故他の日本人は悪い歯並びのままで平気なのかと逆に聞かれたこともありました。
月に一度の治療の日がとても楽しみでした。
装置を調整して、その日一日は頭痛がしたり、ものが噛めなかったりして、辛いのですが、歯が動いていくのが目に見えてわかるので待ち遠しいものでした。
最後に装置をはずしていただいたときの嬉しさは忘れられません。
ところが意外と他人は気が付かないようで、自分では大きな負担だったワイヤも人の目には余り違和感のないものだったんだなーと改めて感じました。
でも気づいた人は皆一様にとてもほめてくれました。
特に御自分で少し歯並びの乱れていると思っていらっしゃる方からはとてもうらやましがられます。ちょっとした角度から見たときに表情が優しく見えたりするそうです。
もちろん思いっきりの笑顔で笑うこともできるようになりました。
久島先生有り難うございました。今でもまだ少し歯が動いているので、ずれてしまわないようにポジショナーというものを夜はめているのですが、せっかく頑張った二年間を無駄にしないよう、もう少し我慢を続けます。
![]() ▲治療前(F.H.さん) |
![]() ▲治療後(F.H.さん) |